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年頭のご挨拶 ~日野病院における地域医療教育 -平成28年1月掲載

 明けましておめでとうございます。本年も旧年と変わりませず日野病院組合をよろしくお願いいたします。
 さて、以前より大学病院が「診療」「教育」「研究」の3つの役割を担っているのに対し、日野病院のような一般病院は主に「診療」のための施設とされてきました。しかし、最近になり、医学教育の役割に占める一般病院の比重が増しています。
 その理由の1つに日本が国際基準の医学教育認証評価制度の導入を目指していることが挙げられます。国際基準をクリアするためには、臨床実習期間が概ね2年あること、診療参加型臨床実習であること、他職種連携を円滑に行い患者との接触機会を十分確保し、プライマリケア診療を含めることなどが必要とされています。このような教育内容を大学病院だけで完結することは不可能なのです。
 もう1つの理由は、平成19年以降の医学教育モデル・コア・カリキュラムの地域医療重視の方向性です。具体的には、入学早期から実施されている地域の保健・医療・福祉・介護などの機関における「早期体験学習」、主として3~4年次に実施される「社会医学実習」、臨床実習時における「地域医療臨床実習」が示されています。これらも地域医療の現場でなければ効果的に実施することは困難なのです。
 このような背景もあり、日野病院も医学教育、特に地域医療教育に力を注いでいます。平成26年に鳥取大学地域医療総合教育研修センターが開設されたことをご存知の方もおられると思います。現在、日野病院は同センターの指導の下、鳥取大学医学部医学科の1年生(早期体験・ボランティア)、4年生(地域医療体験実習)、6年(臨床実習2)に実習や研修の場を提供するとともに、その実施に協力しています。
 ところで、日野病院にやってくる学生は鳥取大学の学生だけではありません。鳥取県が主催する医学生サマーセミナー(地域医療体験研修)に参加する他大学の医学生、米子北高校看護科4、5年の看護学生(臨床実習)、鳥取県が主催する看護サマーセミナー(看護体験研修)に参加している看護学生、理学療法士科の学生であるYMCA米子医療福祉専門学校4年生、畿央大学冬木学園4年生なども日野病院で実習や研修を行なっています。
 さらに、学生以外に卒業後の臨床研修を行っている医師、すなわち研修医も来ています。研修医は2年間、主として自分が所属する研修指定病院で研修しますが、1か月以上の地域医療研修が義務付けされています。地域医療研修は通常研修指定病院の協力施設で行われます。鳥取県内には鳥取大学医学部付属病院を始め8つの研修指定病院がありますが、日野病院はそれらの内、7つの病院の協力施設となっています。日野病院で地域医療研修を行なった研修医は平成18年以降20人に上ります。
 地域医療教育の大きな目的の1つは、将来地域医療を志す医療従事者を1人でも多く増やすことにあります。そのために私共職員は多忙な日常業務の中、地域医療の持つ特性や魅力を積極的に学生や研修医に伝えています。
 

平成28年1月