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新型コロナウイルスとの戦い、医療機関の試練、日野病院の取り組み  -令和2年5月

 「2020年4月、人類はCovid-19との壮絶な戦闘を繰り返していた。すでに死者は8万人を超え、負傷者(感染者)は140万人以上となった。戦闘地域は拡大する一方で、終わりの見えない戦いに人々は・・・」まるでSF小説のような状況です。イタリア、スペイン、ニューヨークでは医療崩壊が起こり、多くの医師や看護師が犠牲となっています。日本でも感染が広がり、東京、大阪などの都市部を中心に感染爆発が起こっています。4月8日には緊急事態宣言が出されました。鳥取県でも4月10日に初の感染者がでました。鳥取県は安全だと都市部より観光に来るような人もおり、さらに感染が広がる可能性があります。
 これまでの日本の状況を見ていくつか分かったことがあります。第一に日本は誰もが自由に意見をいえるといういいところはあるのですが、最終的に誰も全責任を負って方針を決めることができません。首相も知事も専門家会議も誰かと責任を分担しようとする傾向があり、決断が曖昧だったり、遅かったりと対応が後手後手に回っています。第二に多くの日本人は国や自治体からの要請に従いますが、そうではない人が一定数必ずいます。これは世界的にも同じようです。しかし、この少数者が感染拡大の原因となります。この数をどれくらい減らせるかが多くの人命の帰趨を決めます。第三として公的医療機関の重要性です。感染が広がった地域では新型コロナ患者の病床の確保が困難になってきています。これらの患者を診ている医療機関のほとんどは大学病院や公立公的医療機関です。イタリアの様に公的医療機関を減らした国では医療崩壊が起こり、十分な治療を受けられないまま多くの患者が亡くなっています。日本でも、昨年厚労省が出した公的病院に対する再編統合が行われていたなら、事態はもっと深刻になっていると想像されます。やはり、公的病院にはこのような事態に備えてセーフティーネットとしての役割も考えておくべきだと思います。火事が一軒もなくても消防署が無駄だと思う人は一人もいません。いつ日野地域にも感染者が出るかもしれません。日野病院も万全の感染対策を行いながら、医療崩壊が起こらないように、充分な治療ができるようにしたいと思います。新型コロナとの戦いに勝つために住民のみなさんの積極的な協力をお願いします。
 さて、去る3月23日に日野郡三町と鳥取大学が医療連携に係わる協定書を交わしました。これは昨年の夏頃より当院病院長補佐生田と日野振興センター、西部総合事務所が中心になって進めてきました。人口減少の進む中、医療人材の確保を含めて日野郡の医療を維持発展させるために締結しました。具体的な対策は今後、日野病院、日南病院、江尾診療所、大学で検討していく予定です。すでに人材の交流や派遣が決まりつつあります。日野郡、周辺の皆さんには期待していただきたいと思います。
 最後に4月からの人事変更をお知らせいたします。整形外科では藤田章啓医師に代わって金谷治尚医師、長尾裕一郎医師に代わって津田亜由美医師が着任しました。また、常勤ではありませんが東京大学から来られた孫大輔医師に週3回診療を行っていただきます。益々充実した診療が行えるものと期待しています。
 新型コロナウイルスはすぐとなりに潜んでいます。皆さんには感染予防に注意しながら、健康を保っていただきたいと思います。