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日野病院組合の最近の活動を振り返って~診療所事業~ - 平成23年9月


 病院長を拝命してから、早いもので5年が経過いたしました。これを契機に日野病院組合の最近の活動を評価する作業を始めています。まず、診療所事業の意義と問題点を検討してみました。
 日野病院は鳥取県西南部の中山間地に位置します。高齢化率は40%を超え、高齢者世帯の多くは自家用車などの独自の交通手段がありません。一方、公共交通機関は、廃止・削減が進行しています。さらに中山間地特有の厳しい地理的、気象的条件も加わり、当地域での患者の通院負担は極めて大きいと言わざるをえません。日野病院組合は、平成17年に黒坂、平成19年には二部に診療所を設置しました。
 黒坂診療所については、開設当初は内科と外科の診察日をそれぞれ週1回設けました。診察日には当院の医師、看護師、事務員それぞれ1名づつを派遣しました。平成20年10月からは松田泰彦先生による週2回の診察が始まったため、内科医師の派遣は中止しました。平成21年3月に外科医師が辞職したため、4月以降は再び週1回内科医師を派遣し、週3回の内科診察の体制となりました。しかし、日野病院に発熱外来(新型インフルエンザ対策)を設置する必要性が生じたため、6月以降内科医師の派遣を中止しました。その結果、診察日は内科の週2回のみとなりましたが、8月に新しく佐藤尚喜医師が着任したため、現在は週1回の外科診察も行っています。
 二部診療所については、開設当初は黒坂診療所と同様の体制としました。しかし、内科医師の辞職により、平成20年10月以降は週1回の外科診察のみとなりました。その後、外科医師の辞職に伴い、平成21年4月以降は内科医師を週1回派遣しました。上述したように、発熱外来設置に伴い医師の派遣を中止したため、本診療所は6月から8月末まで休診となりました。9月からは週1回の熊野健太郎医師による内科診察を再開し、現在に至っています。
  2つの診療所を合わせた年間外来患者延数は平成17年度から19年度では1100名程度、平成20年度から22年度では1500名程度でした。これらは、当院の年間外来患者延数の2~4%に相当しました。一方、2つの診療所を合わせた医業収支は一貫して赤字でした。しかし、収益的収支、資金収支は保健衛生費などの医業外収益により平成18年度より黒字となりました。
 以上より、附属診療所の設置は、日野病院組合に大きな経済的負担を強いることなく、住民の通院負担をある程度減少させることができたと考えられます。ただし、診療所活動を継続させるためには、今後とも病院の実情に合わせた診療体制の柔軟な変更が必要と思われます。 
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