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患者数から見える日野病院のこれから -平成24年9月

 お盆が過ぎたというのに猛暑が続いています。米子市では8月20日に全国1位の最高気温36.4℃を記録しました。8月24日の気象庁の発表によると、今後2週間程度はこのような厳しい残暑が続く見込みなのだそうです。雨が少ない状態が続くと予想されていますので、農作物や水の管理には充分な注意が必要です。
 先日開かれた日野病院組合議会定例会で平成23年度の日野病院組合事業会計決算が承認されました。平成19年から5年続けての黒字であり、職員の努力と構成町のご支援の賜物と感謝しています。
 ところで、定例会に先立つ全員協議会で、日野病院の外来患者延数の減少が話題になりました。日野病院組合の将来に直結する問題ですので、その実情を皆さまにも知っていただこうと思います。
 ここで言う外来患者延数というのは、日野病院の各診療科および黒坂、二部診療所を受診した患者さん、さらに各種の訪問サービスを利用した患者さんの数を年間合計したものです。平成13年度には7万6千人でしたが、その後は1年ごとに約3千5百人(前年度比5%程度)減少し、平成19年度には5万5千人となりました。その後、減少は若干緩やかになりましたが、それでも年間2千人程度(前年度比3.5%程度)が減少し、平成23年度には4万7千人余りとなりました。すなわち、平成23年度の外来患者数は平成13年度の3分の2以下にまで減少したことになります。
 私たちの分析では、外来患者延数の減少には外来患者実数と受診回数の両者の減少が関与していました。実数の減少については、この地域の人口減少がその主な原因と思われました。一方、受診回数の減少については、病院へのアクセスの不良、医療費の自己負担増額による”受信控え”、薬剤投与日数規程の廃止など複数の原因が考えられました。ちなみに、患者さん1人当たりの年間受診回数(外来患者延数を外来患者実数で割った値)は平成13年度が37回、平成23年度が27回でした。
 さて、このような深刻な外来患者延数の減少に対して日野病院としてはどのように対応すべきでしょうか。もちろん、患者さんの受診回数を増やす努力は必要です。しかし、受診回数の減少が高齢化や医療保険制度などの構造的な問題に由来している可能性が高い以上、それは容易なことではありません。
 私たちが取り得る対応策は、外来患者延数の減少に合わせて外来機能の一部を縮小し、今後発展が予想される部門を拡大することではないかと思います。診療科ごとの外来患者延数の推移を見ますと、全てが一律に減少している訳ではなく、訪問サービスや透析部門ではむしろ増加しているのです。日野病院の外来は、大胆な構造改革が必要な時期に来ています。 
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